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第25話 さよなら戸畑バスセンター物語

先日から直方バスセンター、後藤寺バスセンターの廃止についての記事を書いてきましたが、先日さらに驚きのニュースが入ってきました。

「戸畑渡場」停留所の移転です。
かつては西鉄戸畑駅があり、さらにはバスの拠点として運行され続けてきた戸畑渡場のバスセンターが今月末で使用停止になる模様です。

ということで、もうずいぶん前から縮小が続いてきた戸畑渡場に行ってまいりました。

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若戸大橋のたもとに、ひっそりとこの停留所は存在しています。
そして、ここと道を挟んだ向かいにあるのは…。
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渡船のりばです。
ずいぶん本数は寂しくなってしまいましたが、それでもこれだけ運行されています。
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なぜこんなに運行されるかって?
現在は1回100円かかるこの渡船なのですが。

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なんと、通学定期の料金は1か月630円w
日本一安い定期券なのかもしれません。
3往復するだけで元が取れてしまいます。

と、言うのには理由がありまして、もともとこの渡船の運賃は20年ほど前まで大人20円でした。
若松区からは陸続きで戸畑に行くことは困難なため、この渡船を通学手段として利用している人が多かったんです。

橋が開通して、路線バスが乗り入れることになりましたが、通行料金の関係でかなり高い運賃が設定されています。市営が280円、西鉄が240円だったかとおもいますがそのくらいかかります。この区間の通学定期、橋を渡るだけで1万円くらいします。

さらに市営バスと西鉄バスのエリアの境界であることもあり、複数の定期が必要になってしまう。

ということもあり、歩道がなく橋を渡れない自転車等で通学する人の格安の移動手段が望まれたため通学定期券だけは運賃値上げ後も据え置かれることとなり、昔のままの630円という金額設定になっています。

さて、本題に戻りますがこの渡場停留所。正式名称は「戸畑バスセンター」と言うそうです。
かつては通勤・通学などで大いに賑わっていました。

しかしながら、自家用車の普及や運賃値上げなどもあり若松区内(二島・小石など)から戸畑へ利用する乗客が、乗換が必要な渡船より直通バスへ乗る人が増えたこと、少子化による高校の定員削減(特に若松高校は20年で生徒数が3分の1にまで減少したそうです)他の高校も半数から7割くらい。近年では渡船の利用者は大幅に減少しています。

先に市営バスがこの反対側のターミナルである若松渡場発着便を大幅に減らし、戸畑や小倉に直通するバスにシフトしていきました。

渡船の通勤・通学利用者も渡場周辺の人や自転車通学している人くらいしか乗らなくなってしまい、その影響はこのバス停の利用者の減少につながりました。

そういった経緯もあり、西鉄バスは少し前からこの停留所へ乗り入れずに営業所もある手前の八幡製鉄所総合センター発着に短縮するようになっていきました。

当初は40番や42.44番での限定でしたが、次第に対象路線は拡大して行き…。
27.28番の乗り入れも廃止。5番は系統そのものが分割廃止。

一時期は電車代行の50.55.90番なども新設されて多く乗り入れていましたが。
八幡系統にシフトしながら系統そのものの大幅な減便もあり少しずつ、少しずつ寂しくなっていきました。

今では渡船を降りた乗客もここを利用する人は稀で、戸畑駅まで歩いてJRや西鉄バスに乗りかえる人が大半です。

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役目を終えつつあるバスセンターの風景をお楽しみください。

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定期券売場はひと足先に、戸畑駅近くのウェルとばたに移転しました。
年季の入ったこのテーブル。この待合室。
青春時代を過ごした人もいるのでは?

個人的な話ですが、自分もイレギュラーでこの停留所を利用したときクラスのマドンナだった人とバスを一緒に待って、ほとんど話す事はなかったのですが、ここで会話を楽しんだと言う甘酸っぱい記憶がありますw

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この屋根をみて、何か気づくことはないでしょうか?
この建物、かつては西鉄戸畑電停として使用されていたものを1985年の路面電車廃止後に縮小、改築して流用したものなのだそうで。
かつて3つあったホームのうちのひとつをバスのりばに転用したとのことです。
(情報をくださった匿名さま、ありがとうございました。)


今はバス停禁煙で、もう見かけることもない灰皿。
ここには残っています。しかも旧社紋。今日も笑顔とまごころで。


現在では93番をメインに70番などが毎時4~5本程度発車しています。
しかし、バス停が移転した後は、現在のメインとなる93番も短縮で乗り入れなくなり、早朝の40番、42番も減便。44番の乗り入れは廃止されます。
日中には小倉・門司方面のバスが毎時1本から2本発着するだけの停留所になります。

さてさて、こんなくらい話題ばかりの戸畑渡場ですが、全盛期のダイヤを少し見ていただきたいと思います。


Twitterのフォロワーさまからご提供いただいた貴重な資料をもとに、ここを発着するバスの時刻表をまとめました。今回の公開も昭和56年のものです。


時刻表の公開に際しての注意事項です。

1.無断転載は絶対にやめてください。発覚した場合は公開を中止します。
転載等を発見された場合はご連絡をお願いします。

2.運行会社への問い合わせはご遠慮ください。

3.一部誤記、記載ミスがあることもあります。その際はご容赦ください。

4.この時刻表は現在の運行ダイヤではありません。また廃止された系統も多数ありますのでご注意ください。

5.感想、情報はコメントまたはTwitterでお願いします。

6.この時刻表の公開は当時の貴重な情報をバス好きの皆様と共有し、一緒に懐かしむことを目的としています。

以上、ルールとマナーをお守り頂きお楽しみをお願いします。

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八幡方面です。
40番は大半の便が小嶺まで完走していますが、この本数w
なんと日中8分間隔ですw

兄弟系統の41番の若松系統が入る部分は16分間隔となっています。

朝夕には区間便が運行されていたようですね。本事務所行きというのが時代を感じますが、これはものすごく大回りで普通にここからなら幸町経由の中央町方面電車に乗ったほうが圧倒的に早く到着できます。(当時)

42番、44番は始発が遅いのと本数が少ないように感じるかもしれません。
約半数強の便は隣の戸畑営業所発着でした。
営業所発着は東大谷までの区間便も毎時1本程度運行されていたようです。


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一枝方面です。
28番の本数が圧巻ですね。
当時は28番がメインだったようです。25番の本数が現在より少ないことがわかります。
経由地の表記のブレは原本をそのまま記載しています。

28番は到津営業所の担当、25番は砂津営業所(当時)の管轄です。
28番の入庫ダイヤが整然としていて、運転士の勤務形態がよくわかりますね。

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最後は中原方面です。電車がある方向なので本数は控えめです。
この前年に廃止された西鉄北方線の代行バスが運行を開始しています。
なぜか1往復だけちょっと手前の北方車庫止まりのダイヤが設定されています。
このあと、5番は小倉側の末端部でバリエーションが広がり、様々な行先が設定されていました。5番は前回の改正で35番となり青葉車庫までに短縮されてしまい、戸畑まで来なくなりました。

93番はこの時代にもありますが、今よりは少なかったんですね。また、行先も霧丘三丁目行きのみの設定です。現在はこちらも末端部で様々な行先が設定されています。

92番は10年ちょっと前から三六町・鞘ヶ谷・七条でループする系統になっていて渡場まで来ません。

99番の設定が面白いですね。
阪九フェリーはこの頃はまだ日明発着だったので接続ダイヤなのかな、と思います。
しかし日祝には朝の1本だけの設定だったようです。

もちろん、この入力ダイヤは「バス」のものだけなので、電車が含まれません。

電車のダイヤは頻繁運行とだけ書かれていて、詳細がわかりません。
砂津経由で門司(現在の東本町二)、中央町方面へ向かい折尾や到津車庫(電車)に行っていたと思われます。

ここの発着が1時間1本なんて寂しい。
と思っていましたが、この写真を撮影してる1時間ほどの間。
バスに乗られた方は誰一人いませんでした。

同業者と思われる方が1人。
散歩中の高齢者の人が2人、運転士の方を2人。

バスセンターで見かけたのはこれだけなんです。
こりゃ仕方ないのかなって。

最後に、このバス停を発車するバスを見送って今回を締めくくりたいと思います。

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by Ashiya-Bus | 2016-09-23 00:35 | バスのこと
芦屋町のバスのことを真剣に変えたくて孤軍奮闘しているブログです。芦屋を陸の孤島にさせない、そんな一心で頑張ってます。

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